高校卒業を控えた生徒のひとり、A美。

進学はしない。就職もしない。

4月からフリーター確定だ。



A美。

君はいま周囲から何度も同じことを聞かれている。

「大学には行かないのか」

「卒業したらどうするのか」。



私は個人的に、こういった質問は嫌いだ。

就職も進学も結婚も出産も

した人に理由を聞くならともかく、

しない人に聞くなど、無神経でデリカシーのない言動に他ならない。

そのような人間性の欠落した人たちは、無視してよい。

無視してもよいが、

人に説明する言葉を用意しておくことに越したことはない。

大切な人や、ラッキーパーソンに出会ったときにちゃんと説明した方がよい。

そう思うだろ、A美。




あらかじめ言っておくと、

A美の生き方、考え方に何ら落ち度はない。

世の中が、大人たちがまだ時代に追いついていないだけだ。

と、私は確信しているので前向きな言葉を一緒に探そう。




ラウンドワンでセグウェイのインストラクターとして一生懸命に仕事をしてきて、

次はランドのキャスト応募を考えているA美。

そういう世界は、すでに産業として成立していて、

映画、テーマパーク、舞台、外食、音楽、芸能、小説、などなど

エンターテインメント産業、

またはコンテンツ産業と言われている。

日本政府も重要な産業と位置付けているほど成長期待の分野だ。




A美は、その産業で自分がもてる力を今、生かしているといえる。

もし、本当にエンターテインメントをライフワークとするのなら、

そう説明すればいい。

「私のライフワークはエンターテインメントなの！」




ライフワークなど考えも及ばないバカ大学生のカンフル剤くらいになるだろう。

さらに説明を付け加えてやるといい。

「エンターテインメントは、人に少しは希望をもたらす。」

「夢見る人も、希望を見失った人にも、なにか役に立てるかも。」

「楽しい思い出をつくることが生きる希望にもなる。」

などなど、

仕事を愛している人からしか出ない言葉をたくさん集めておくとよい。





アルバイトの立場ではあっても、

エンターテインメントを心から愛し、

エンターテインメントについて学び続け、

人の人生を少しだけでも豊かにできる人になるために、

A美は、大学と就職の選択肢を積極的に選ばなかったといえる。




仕事を愛し、

責任感をもち、

インストラクターとして人に指導する経験をもつA美なら、

一応、念のため、

通信制の美大も検討しておくように。

まだギリギリ間に合うことだから、

いますぐ調べてみること。

無駄だと思えば、積極的に切り捨てればよい。

まわりにどう言われようと、思われようと、

自分が選んだ道を最後まで選ぶこと。

そして

「私はこの道を選びました。決して後悔はしません。」

と自分自身に宣言しよう。

そういう人にはきっとプロの素養はあるだろう。

周囲の雑音に惑わされることなく、

わが道を、ゆけ。







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2018年2月18日（日）

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崎山潤一郎